(英語の記事はこちら)
2014年7月6日に「スマートライフ発電所」の現場見学会に行ってきました。場所は静岡県伊豆の国市で新しくできたソーラーシェアリング発電所です。
私が住んでいる茨城県つくば市から、電車を乗り継いで片道3時間ぐらいのプチ旅行でした。
最後の乗り継ぎは伊豆箱根鉄道のある小さな駅まで行って、そこから発電所まで2.3kmということで、マイ足で行くことにしました。暑かったですが、田んぼや山の景色がきれいでいい散歩でした。30分ほど歩くと、道路から発電所が見えてきました:
もう少し近づくと…
見学会の開始時間より早く来たのに、もう人が集まっていました。上の写真をクリックして大きくすると、パネルの下で人の姿が見えます。
受付を済ませて資料をもらって中に進むと、この発電所を施工した発電マンの岩堀さんはもう説明に夢中でした。下の写真ではちょうど里芋畑と田んぼの境目にグループがいるのが見えます。
その後、岩堀さんは見学者全員に向けていろいろと説明をしてくれました。見学者からの多くの質問にも丁寧に答えてくれました。
説明中の岩堀さん:
概要
こちらはスマートライフ発電所の概要です。
発電規模:
区画A 売電容量 44 kW
区画B 売電容量 44 kW
区画C 施工中
系統連係日:
区画A, B 2014年7月3日
区画C これから
地目: 農地(田んぼと畑)
栽培作物:
区画A、B 稲作、里芋(栽培中)
区画C 畑わさび(予定)
遮光率: 約38%
地面からのパネルの高さ: 3.5メートル
感想
1.規模が大きい!
まず一つ目は、ソーラーシェアリングの発電所として、規模がとても大きいと思いました。区画A,B,Cをあわせると、発電容量が100 kW を超えます。私が今まで見聞きした中で最も大きいソーラーシェアリング発電所です。
2.遮光率は高めなのに暗くはない
遮光率は38%と、ソーラーシェアリングで推奨されている遮光率より若干高めですが、実際は光は上からだけでなく、横からも入るということもあり、特に暗くは感じませんでした。パネルの下の稲や里芋は元気に育っていました。
私自身だったらそこまで遮光率を上げませんが、一応遮光率38%でも十分明るいのだ、というのが正直な思いでした。
後は収穫の時期を待って、作物の収量が実際減るのか、減るならどれぐらいかを確認するまでです。(農水省の指針では2割以上減少してはいけません。)
3.農地での設置
この発電所の特徴は、地目が「農地」という土地で設置されていることです。ソーラーシェアリングを農地でやろうと思ったら、農業委員会の許可が必要で、一気にハードルが高くなります。
見学会でのお話によりますと、やはり農業委員会の許可を得るのに苦労したそうです。 何が大変かというと、光をある程度遮っても作物は十分に育つということを証明するために、光飽和点の研究データなどを探して農業委員会に提出して説得しなければならない、といったところです。
去年2013年4月に、農水省がソーラーシェアリングを農地でできるための指針を出しているので、許可が簡単に降りると思いがちですが、まだまだそう簡単ではないようです。
ちなみに私たちが今つくばで作っている発電所は、土地の地目は「雑種地」なので、農業委員会の許可等は要りません。ラッキー(農地だとそもそも私たちは買えないけどね)。
私としてはスマートライフ発電所で初めて、田んぼの上でパネルが設置され発電しているのを見ました。日本全国でも田んぼでのソーラーシェアリングの事例はまだ珍しいです。
田んぼは水が張ってあるので、その水面から単管パイプが出ているのが不思議な感じでした。
単管パイプが水面から出ている様子:
ただ、田植えから稲刈りまでの間に、もしパネルの手入れや修理などが必要だったら、やりにくそうだなと思いまた。(稲を傷つかずには脚立も置けないし、みたいな)。実際はどうか分かりませんが。
これからも、スマートライフ発電所の田んぼや畑の作物たちは元気に育っているか、たまには発電マンさんに聞いてみよう。
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関係ない追伸:今回見学した発電所とは関係ありませんが、言わずには入られないことがあります。駅から発電所まで歩く時に、日本のウォーカビリティ(walkability)の無さを改めて痛感しました。途中から歩道が無くなり、車の一緒の道路を歩かなければならなかったのは残念です。日本では車乗りが一級市民、歩行者は二級市民扱いというのは慣れようとしても慣れません。歩道をもっと作ってほしいです。